Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans

Aozora Bunko

卓についた肱に、卓を打つ振動が伝わって来る。眼が据って来るのが、自分でもわかった。更に新しい麦酒を傾けて、一息にのみほした。

黙ってしきりに麦酒をほしていたらしい吉良兵曹長が、身体をずらして私の正面にむきなおった。もはや上半身は裸になっていた。堅そうな、筋肉質の肩の辺が、汗にぬれて艶々と光った。低い、いどみかかるような声で私に言った。

「兵隊どもに、戦争は今年中に終ると言ったのか。え。村上兵曹」

「そんなことは言いません」

あの厭な、マニヤックな眼が、私の表情に執拗にそそがれている。何気なく振舞おうと思った。飲みほそうと食器を持った手が少しふるえた。

「此のように決戦決戦とつづけて行けば、どちらも損害が多くて、長くつづけられないだろうというようなことは、あるいは言ったかも知れません」

そう言いながら、私は自らの弱さが、かっとする程腹が立って来た。私もじっと彼の顔を見据えながら言った。

「どうでもいいことじゃないですか。そんな馬鹿げたこと」

「今年中に終るか」

執拗な口調であった。少し呂律が怪しくなっているらしかった。

「村上兵曹。死ぬのはこわいか」

「どうでもいいです」