Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans

Aozora Bunko

「死ぬことが、こわいだろう」

瞳の中の赤い血管まではっきり見えるほど、私は彼の顔に近づいた。酔いが私を大胆にした。私は、顔の皮が冷たくなるような気持で、一語一語はっきり答えた。

「私が、こわがれば、兵曹長は満足するでしょう」

はげしい憎悪の色が、吉良の眼に一瞬みなぎったと思った。それは咄嗟の間であった。立ち上るなと感じた。立ち上らなかった。吉良兵曹長は、首を後ろにそらせながら、引きつったような声で笑い出した。声は笑っていたが、顔は笑っていなかった。卓の下で握りしめていた私の掌に、今になって脂がにじみ出て来た。

一人の兵隊が、卓からはなれて、よろめいて来た。歌声は乱れながら、雑然と入りまじった。

「兵曹長。踊ります」

「よし、踊れ」

笑いを急に止めて、吉良兵曹長は叱りつけるような声でそう言った。

その兵隊は、半裸体のまま、手を妙な具合に曲げると、いきなりシュッシュッと言いながら、おそろしくテンポの早い出鱈目の踊りを踊り出した。よろめく脚を軸として、独楽のように廻った。手を猫の手のようにまげて、シュッシュッという合の手と共に、上や下に屈伸した。歌声が止み、濁った笑い声が、それに取って代った。