Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lisez 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) de 梅崎 春生 (うめざきはるお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 169 810 caractères · 345 écrans
密林に紛れて何処に逃げようと言うのか。斬込みに行くより逃げる方が、死ぬ率が少ないに決まっていた。死を賭して斬込むとしても、斬込みそれ自身にどれほど効果のあるものか、それは疑問であった。厭戦の気分が将兵のすべてにはっきりと兆し始めていた。逃亡兵は斬込隊だけではなく、部隊本部からも出た。宇治の部下も二三既に姿を消していた。
宇治は兵器係である。部下と共に、斬込みに使用する破甲爆雷などの製造に寧日なかった。製造所は鐘乳洞の中であった。鍾乳石の垂れ下る洞窟の中で、一日中火薬の臭いと共に暮した。時に同僚の昔の部下が、斬込みに行くため訣別のあいさつに来た。そんな時でも彼等はわらっていた。わらいながら手を振って、洞窟を出て行った。宇治は洞窟の出口まで見送りながら、あれが人間としての最後の虚栄であると思いながら、それでも涙が出そうになるのを押えることが出来なかった。そして出て行った人々の半数は帰らなかった。疲れ果てて夜仮小屋の寝台に横になるとき、宇治は帰って来ぬ同僚や部下の数をひとりひとり心の中で読んでいる。そして自分はまだ生きている、と思う。それは感傷的な気持ではなく、実感として胸に来た。