Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 073 caractères · 223 écrans

Aozora Bunko

――宇乃はいまなにを考えていた。

あるときそう訊いてみた。それは夏のはじめごろのことだったが、宇乃は訝しげに甲斐を見て、それから急に顔を赤くした。ぼうと赤くなったきり、宇乃はなにも云わなかったが、甲斐にはすっかりわかった。

――そうだ、訊くまでもない。

宇乃は心のなかで話しかけ、心のなかで彼と問い答えしていたのである。顔を赤らめながら、眼をそらせた宇乃の表情に、そのことを明らかに認めたと、甲斐は思った。

宇乃が音もなく立った。甲斐が振向くと、宇乃は「お湯殿をみてまいります」と云い、静かに階段のほうへ去っていった。

その建物に付属する湯殿は二つある。一つは藩侯の専用で、そこから一段さがったところに、家臣たちのものがあった。――甲斐は負傷して以来、ゆあみは独りでするようになった。それは傷痕がかなり大きく、醜いので、人の眼にふれるのが不愉快だからであった。

甲斐が湯殿へはいり、宇乃が次の間に浴衣を揃えて待っていると、塩沢丹三郎が来て、自分が代ろうと云った。彼は十七歳になり、もちろん元服しているし、背丈も伸び、躯もかなり逞しくなったが、顔だちや挙措はまだ少年らしく、二つ年下の宇乃のほうが、はるかにおとなびてみえた。