Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 181 caractères · 219 écrans
そして、私が逃げて来ると同時に、先に進んでいた連中もワーッと血相変えて、算を乱して駈け上って来るのは覚えていましたが、ただそれだけ! 悪寒のようにからだがブルブルブルブル止め度もなく震えて、息を継いでは走り、また継いでは走り、そのほかのことは何の覚えもありません。ただ、いくら走っても走っても、今見た墓の恐ろしさだけが眼に焼き付いて、何としても離れないのです。
昨夜は一頻り雨が降っていましたが、この辺にも烈しい夕立ちがあったのでしょうか? 空が曇って、低く雲が垂れて、しかもその曇った雲の切れ目から薄日が洩れて、一際濃い彼方の山の中腹から、麓を照らし出していたもの凄さ……凄まじさ……その山を背にして、しょんぼりと松の木の下に立っていた二つの墓! 物心ついてからまだ私は、あんな凄愴極まる景色は見たことがありません。
もう、くだくだしいことは申上げませんでも、先生にはおわかりになるでしょう。私は道後まで逃げて来たようなものです。道後まで逃げて来ても、まだ気が落ちつかず、父を促して東京まで逃げて来たようなものでした。
先生、私はさっきいいましたでしょう? ジーナやスパセニアの写真を五、六枚撮りましたけれど、その後二年ばかりたって、竦然とするような事件のために身震いして、ことごとく燃やしてしまいました、と。