Classiques japonais avec furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 181 caractères · 219 écrans
「三里……? まだ三里も?」
といよいよ私は、途方に暮れました。
「ここは何というところですか?」
「東水の尾……水の尾村の東水の尾というところよ……でも、ここは、わたしの家があるだけよ。村のあるところは、もっとずっと向うですわ」
鞭の指さしているのは、今私の降りて来た躑躅山の、もっとずっと左側の、雑木林の奥の方! ここが一番近くて、それすら三里離れているというのです。そして小浜は、遥か左手の霞んだ、海岸線の北の方! この疲れと饑えの足で、まだ六里では私は落胆しました。もう足が意地にも、進まないのです。が、今来た道をその水の尾という村へ戻る気には、どうしてもなれません。
ここから四里ばかり離れて、小浜の町へ行く途中に、大野木という村があると聞いて、私は歩き出しました。その大野木まで行けば、小浜行きの乗合が出るということですし……仕方がない、草臥れても饑じくても、大野木まで行くほかはないのです。
艾や芒を分けて、私の歩いて行く後方から娘はゆったりゆったりと、馬を打たせて来るのです。まだ時々、胡散臭そうに唸っている犬を制止しているようでしたが、どんなに美しくても、珍しい混血児でも、こんなに落胆した気持の時では、もう何の興味でも好奇心でもありません。