Classiques japonais avec furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 181 caractères · 219 écrans
夢見心地でぼんやりと私は、肉刺のできた足を引き摺っていましたが、その姿が哀れだったのかも知れません。
「どこからいらしたの?」
と背後から声をかけられました。
「あの山の向うから、来たんです」
と、私は山を指さして、また歩き出しました。しばらく馬の跫音が続いていました。
「じゃ、豊沢の方から……?」
ややあって、また聞こえてきました。
「そんなところ、僕、知りません。僕は雲仙から来たんです。南有馬へ出るつもりで、道を間違えて……」
「まあ、雲仙から?」
「道を間違えて、面倒臭いから小浜へ出ようと思ったら、また間違えて、昨夜は野宿しちまったんです」
ぼんやりと俯いて歩いていましたから、もう、娘が何を聞いたかを、覚えておりません。歩いていたら、娘がまた、呼んでいるのです。
「そっちへ行くと、違うわよ! ……こっちの方、こっちの方!」
いうことが飲み込めなくて、立ち停まって顔を眺めていたら、
「じゃ、家へ寄って、休んでらっしゃるといいわ……パパに、そういいますから」
娘の家は、その辺から曲るのか、大分離れた草原の中に馬を立てて、こっちを眺めているのです。私もぼんやりと、娘の姿を眺め返していました。