Classiques japonais avec furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 181 caractères · 219 écrans
十四の時には到頭、外国船の給仕に売られて……が、船の待遇が悪くて虐待されるのであっちへ着きこっちで積荷して、流れ流れてアドリア海のスプリトという、小さな港で木材を積み込んだ時に、到頭脱走して、陸地へ逃れてしまったというのです。
今から思えばそこが、ピーター陛下治世当時のセルビア王国、今のユーゴ・スラヴィア国のダルアチア州だったのですが、十四ぐらいの無学な子供に、自分の逃げ込んだ土地が英国なのか、伊太利なのか、仏蘭西だか何が何やら、わかったものではありません。ただ、鬼のような船長に見つかりたくない一心で、暗雲に奥へ奥へと逃げ込んで、農家の水汲みをして昼の麺麭を恵まれたり、麦畑の除草を手伝って晩飯にありついたり、正規の入国手続きを踏んでいないのですから、官憲の眼を忍んであっちへ逃げこっちへ逃げして、言語に絶する辛酸を舐め尽しました。それでも翌年の春には、ゼニツアという鉱山で働くことができたというのです。
そしてその働いているところが、ある日、鉱山主の眼に留まって、言葉もわからぬ異郷でいたいけな日本の子供が苦労しているのを哀れに思った鉱山主のお陰で、昼は働きながら夜は鉱山経営の夜学校へ通わせてもらうことができるようになったというのです。