Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こおりぐらのにかい
氷蔵の二階
宮本 百合子
Lisez 氷蔵の二階 (こおりぐらのにかい) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 201 caractères · 37 écrans
「いやいや郊外はいや。――今日は。ギュ、と殺されたりするの私御免さ」
彼等は、薄暗い露台の方で顔を拭いた。
「――お房さん、ずっといたの? うちに――」
「一寸出たわ」
「明日降られちゃやりきれないな」
大垣が先に室に戻った。彼は、房がやっている絹糸の編物に触った。
「お房さん、編物がお得意だな、この前のと違うんでしょう、これ」
「違うわ」
「何なの? 何が違うって?」
志野が遠くから口を挾んだ。
「編物さ――冬んなったら、僕も一つしゃれた襟巻でも編んで貰おうかな」
髪をかき上げながら入って来た志野が、
「襟巻なんぞなら、私編んだげてよ」
と云った。
「ほほう」
志野は、さっと赧くなった。
「何が、ほほう?」
「――ほほうだから、ほほう、さ」
「こいつめ!」
「静かにしなさいよ! 今頃」
ふざけかけた二人は、びっくりしておとなしくなった。房は、むっとしたように下を向いたまんま、途方もなく速く編針を動かしている。志野が、くつくつ笑い、大垣に目交せした。大垣もにやにやして頷いた。その途端、房がひょいと頭をあげて二人を見た。
「ふわあ、恐ろしや」
これには房も笑った。
「さ、また明日があるから寝ましょうか。