Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんやのきゃく

深夜の客

大倉 燁子

Lisez 深夜の客 (しんやのきゃく) de 大倉 燁子 (おおくらてるこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 926 caractères · 28 écrans

Aozora Bunko

もはや身に寸鉄も帯びていないという事を示す積りらしかった。

深夜、危険を冒して入って来た位だから、並々ならぬ用事があるに違いないと思ったので、洋子は椅子の一つを指差して、

「どうぞ、お掛け下さい」と云ってから、改めて、

「一体、あなたはどなたなんですか?」と詰問するように云った。

男は覆面を脱った。彼女はびっくりした、その顔には見覚えがある。沼津の松並木で擦れ違った時、運転手と並んで腰かけていた貴公子風の男だった。恐らく汽車を飛び降りた影の一つも同人に違いない。聞き覚えのある声だと思ったのも道理だ。已に彼女は通路で話していた彼の声を聞いていたのだから。

彼女の驚いている顔を見ながら、落付き払って、

「私は脱獄囚尾越千造でございます」と名乗った。洋子は二度びっくりした。

「お驚きになりましたか?」

ちょっと返事が出来なかった。

覆面を脱いだ男は色白の女のような美しい顔をしていた。これがもし玄関から一人の訪客としてやって来たのだったら、義賊尾越千造だと名乗られても、恐らく信じられなかったであろう。それほど態度にも容貌にも兇悪のかげはみじんも見えなかった、反って人の好さそうな貴公子にさえ見えるのだった。