Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わたらせがわ

渡良瀬川

大鹿 卓

Lisez 渡良瀬川 (わたらせがわ) de 大鹿 卓 (おおしかたく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 280 528 caractères · 557 écrans

Aozora Bunko

そんな臆測も脳裏をかすめたが……いや、いやとかすかに頭を振って、自分でそれを打ち消しつつ、瞑黙の姿を見守りつづけた。

長い時間がたった。木枯が雨戸をひと揺りしていって、そのあとから夜汽車の汽笛のひびきが物淋しく聞えた。たけ子はなにとはなしに身のまわりを振りむいた。するとその衣ずれの音に、

「なにかいったか」

と、正造が瞼を開けた。

「いいえ、……なにもいいません。なにか御用事かと思って来たんですが遠方ですし、私もう帰らしてもらいますわ」

「まだそう遅くない。まだいいだろう。もう少しいなさい」

ひきとめたものの正造の言葉はそれきりで、少しも用談には触れて来なかった。ただたけ子と二人黙って対坐していることに、無上の満足を見出しているような様子だった。たけ子も「こうしてゆっくり顔を合わすのも久し振りじゃないか」といわれたような気がして、また腰を落ちつけた。廊下の遠くの方で、厠の戸をあける音がした。夜の更けてきた気配が障子のうちそとに感じられた。たけ子はついに余り遅くなるからと断って、帰り支度にかかった。正造は「そうか」といって、なにか改った眼差しで、なでるように彼女の動作を追った。