Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lisez 湖畔亭事件 (こはんていじけん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 335 caractères · 137 écrans
四
「では一つ、いたずらを初めるかな」
私はニヤニヤひとり笑いを洩しながら、客が少いので見つけられる心配もなく、例の道具立てに取かかるのでした。そこで私が何を隙見しようとしたか、又その隙見から、計らずも、どんな大事件が持ち上ったか。これからがこの物語りの本題に入るのであります。
四
湖畔亭は、H山上の有名な湖水の、南側の高台に建てられてありました。細長い建物の北側が直に湖水の絶景に面し、南側は湖畔の小村落を隔てて、遙に重畳の連山を望みます。私の部屋は、湖水に面した北側の一方の端にありました。部屋の前には、露台のような感じの広い縁側に、一室に二ヶ位の割合で籐椅子が置かれ、そこから旅館の庭の雑木林を越して、湖水の全景を眺めることが出来るのです。緑の山々に取囲まれた、静寂なみずうみの景色は、最初の間、どんなに私を楽ませた事でしょう。晴た日には、附近の連峰が、湖面にさかしまの影を投げて、その上を、小さな帆かけ船が辷って行く風情、雨の日には山々の頂を隠して、間近に迫った雲間から、銀色の糸が乱れ、湖面に美しい鳥肌を立ている有様、それらの寂しく、すがすがしい風物が、混濁し切った脳髄を洗い清め、一時は、あの様に私を苦しめた神経衰弱も、すっかり忘れてしまう程でありました。