Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぼくとうきだん

濹東綺譚

永井 荷風

Lisez 濹東綺譚 (ぼくとうきだん) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 57 666 caractères · 114 écrans

Aozora Bunko

八

八

来そうに思われた夕立も来る様子はなく、火種を絶さぬ茶の間の蒸暑さと蚊の群とを恐れて、わたくしは一時外へ出たのであるが、帰るにはまだ少し早いらしいので、溝づたいに路地を抜け、ここにも板橋のかかっている表の横町に出た。両側に縁日商人が店を並べているので、もともと自動車の通らない道幅は猶更狭くなって、出さかる人は押合いながら歩いている。板橋の右手はすぐ角に馬肉屋のある四辻で。辻の向側には曹洞宗東清寺と刻した石碑と、玉の井稲荷の鳥居と公衆電話とが立っている。わたくしはお雪の話からこの稲荷の縁日は月の二日と二十日の両日である事や、縁日の晩は外ばかり賑で、路地の中は却て客足が少いところから、窓の女達は貧乏稲荷と呼んでいる事などを思出し、人込みに交って、まだ一度も参詣したことのない祠の方へ行って見た。

今まで書くことを忘れていたが、わたくしは毎夜この盛場へ出掛けるように、心持にも身体にも共々に習慣がつくようになってから、この辺の夜店を見歩いている人達の風俗に倣って、出がけには服装を変ることにしていたのである。これは別に手数のかかる事ではない。襟の返る縞のホワイトシャツの襟元のぼたんをはずして襟飾をつけない事、洋服の上着は手に提げて着ない事、帽子はかぶらぬ事、髪の毛は櫛を入れた事もないように掻乱して置く事、ズボンは