Classiques japonais avec furigana
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てりはきょうげん
照葉狂言
泉 鏡花
Lisez 照葉狂言 (てりはきょうげん) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 49 730 caractères · 100 écrans
五
獣のね、恐ろしいものに追懸けられて、お前さんと、お雪さんと抱き合って、お隣の井戸の中へ落こちたのを見て、はッと思って目が覚めたもんだから。……」
われは悚然として四辺を見たり。小親は急に座を起ちしが、衣の裳踵にからみたるに、よろめきてハタと膝折りたる、そのまま手を伸べて小窓の戸閉したり。月の明り畳に失せて、透間洩りし木の葉の影、浮いてあがるようにフト消えて見えずなりぬ。一室の内燈の隈なくはなりたれど、夜の色籠りたれば暗かりき。さやさやと音さして、小親は半纏の襟引合せ、胸少し火鉢の上に蔽うよう、両手をば上げて炭火にかざしつ。
「もっとお寄りではないか。貢さん、夜が更けたよ。」
五
袷の上より、ソトわが胸を撫でて見つ。
「薄着のせいかね、動悸がしてるよ。お前さん、そんなに思い詰めるものではないわ。そりゃお雪さんのことを忘れないで、心配をしておあげなのは、お前さんが薄情でないからで、私だって嬉しいよ。ねえ、貢さん、実のある弟を持ったと思って、人のことに心配をおしのでも、私は悪い気はしませんよ。けれども、そんなに思い詰めちゃあ、ほんとうに大事な身体をどうおしだえ。