Classiques japonais avec furigana
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てりはきょうげん
照葉狂言
泉 鏡花
Lisez 照葉狂言 (てりはきょうげん) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 49 730 caractères · 100 écrans
もう下で口が利けなくなったんでしょう。小銀の悲しさは、まあどんなだったろうねえ。叶わないとは思っても、ひょッと聞えようかと、(姉さんや、姉さんや、どこまで水がつきました。)阿銀さん、姉さんッて、はッと泣き倒れて、姉さん、姉さん。」
と悲しき声す。先刻より我知らず悲しくなりしを押耐えていたりしが、もはや忍ばずなりて、わッと泣きぬ。驚きて口をつぐみし婦人は、ひたと呆れし状にて、手も着けでぞ瞻りける。
門の戸引開けて、衝と入りざま、沓脱に立ちて我が名を慌しく呼びたるは、隣家なる広岡の琴弾くかの美しき君なり。
「あれ。」とばかりに後にすさりて、後ざまにまたその手を格子戸の引手にかけし、遁も出ださむ身のふりして、面をば赧らめたまえる、可懐しと思う人なれば、涙ながら見て、われは莞爾と笑いぬ。
「まあ私はどうしたというのでしょう。」
かく言いかけて俯向きたまえり。
「どうぞ、さあどうぞお入りなさいまし。お嬢様まことに散らかしておりますが。」
此方も周章てていう。
「はい、まだしみじみ御挨拶にも上りませぬのに、失礼な、つい、あの、まあ、どうしたら可うございましょう。」
詮方なげに微笑みたまいつ。