Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
つばくろ(つばくろ)
燕(つばくろ)
山本 周五郎
Lisez 燕(つばくろ) (つばくろ(つばくろ)) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 25 395 caractères · 52 écrans
んだからな、もしなんならおれが呼びにいってもいいよ」
「せっかくではございますが」と老女のいよが云った、「花屋のあるじはもういましがた帰りました」
「平作が帰った」と又左衛門がいよの顔を見た。
「はい」いよは舷燈に火を入れてから答えた、「もう少し人らしくなったら、改めてみなさまを御招待いたします、それまではどうぞお構い下さらぬように、と申しておりました」
「あの暴れ者が」と渡貫が云った、「相変らず我の強いやつだな」
「さあ掛けてくれ」と又左衛門が云った。
かれらは卓に向って腰を掛けた。湖畔のほうで青年たちの歌ごえが高くあがり、松林を暈して、霧がゆっくりと庭へながれ入って来た。
「みろ、霧だ、――」と梶本が息を深く吸いながら云った、「湖水から来る霧だ、これであのころのものがすっかり揃ったぞ」
「悲しいかな、いまの私にはこの霧がいけないんだ」と庄野が両の肩を撫でながら云った、「医者から注意されているんでね、なにか肩に掛ける物はないだろうか」
「いよ」と又左衛門が振向いた、「納戸にあるブランケットを持って来ておくれ」
いよは舷燈の位置を直して去った。昏れかけてはいるが、まだ舷燈の光が必要なほど暗くはない。