Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ねことしょうぞうとふたりのおんな

猫と庄造と二人のおんな

谷崎 潤一郎

Lisez 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 020 caractères · 131 écrans

Aozora Bunko

あれ、そのことでかいな?」

「そうだんが。これ見て御覧、―――」

と、庄造は両腕を突き出して、シャツの袖をまくり上げた。

「これ、そこらじゅう蚯蚓脹や痣だらけだ。顔にかてこれ、まだ痕残ってるやろ。」

「何でそんなことしられたんや?」

「焼餅だんが。―――阿呆らしい、猫可愛がり過ぎる云うて焼餅やくもん、何処の国にあるか知らん、気違い沙汰や。」

「品子かてよう何のかんの云うてたやないか。お前みたいに可愛がったら、誰にしたかて焼餅ぐらい起すわいな。」

「ふうん、―――」

幼い時から母親に甘える癖がついているのが、この歳になってもまだ抜け切れない庄造は、だだッ児のように鼻の孔を膨らがして、さも面白くなさそうに云った。

「―――お母さん福子のこと云うたら、味方ばっかりするねんなあ。」

「けどお前、猫であろうと人間であろうと、外のもん可愛がってて、来たばかりの嫁のこと思うてやらなんだら、気イ悪うするのん当り前やで。」

「そら可笑しい。僕、いつかて福子のこと思うてまんが。一番大事にしてまんが。」

「そうに違いないのんやったら、ちょっとぐらいの無理聴いてやりいな。わてあの娘からもその話聞かされてるねんが。