Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lisez 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 399 caractères · 353 écrans

Aozora Bunko

「ふむ、………」

と云って、不承々々に、睡そうな返辞をしたのは、私が二三度怒鳴ってからでした。

「おい! 起きないかったら!」

「ふむ、………」

そう云ったきり、又暫くは起きそうにもしません。

「おい! 何してるんだ! おいッたら!」

私は立ち上って、足で彼女の腰のあたりを乱暴にぐんぐん揺す振りました。

「あーあ」

と云って、先ずにょっきりとそのしなしなした二本の腕を真っ直ぐに伸ばし、小さな、紅い握り拳をぎゅッと固めて前へ突き出し、生あくびを噛み殺しながらやおら体を擡げたナオミは、私の顔をチラと偸んで、すぐ側方を向いてしまって、足の甲だの、脛のあたりだの、背筋の方だの、蚊に喰われた痕を頻りにぼりぼり掻き始めました。寝過ぎたせいか、それともこっそり泣いたのであろうか、その眼は充血して、髪は化け物のように乱れて、両方の肩へ垂れていました。

「さ、着物を着換えろ、そんな風をしていないで」

母屋へ行って着物の包みを取って来てやり、彼女の前へ放り出すと、彼女は一言も云わないで、つんとしてそれを着換えました。それから晩飯の膳が運ばれ、食事を済ましてしまう間、二人はとうとう孰方からも物を云いかけませんでした。