Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lisez 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 179 399 caractères · 353 écrans

Aozora Bunko

二階へ上ると、廊下の取っ突きに稽古場があって、「ワン、トゥウ、スリー」と云いながら足拍子を蹈んでいる五六人の人影が、すぐと私の眼に入りました。日本座敷を二た間打ち抜いて、靴穿きのまま這入れるような板敷にして、多分滑りをよくする為めか何かでしょう、例の浜田と云う男が彼方此方へチョコチョコ駆けて歩いては、細かい粉を床の上へまいています。まだ日の長い暑い時分のことだったので、すっかり障子を明け放してある西側の窓から、夕日がぎらぎらとさし込んでいる、そのほの紅い光を背に浴びせながら、白いジョオゼットの上衣を着て、紺のサージのスカアトを穿いて、部屋と部屋との間仕切りの所に立っているのが、云うまでもなくシュレムスカヤ夫人でした。二人の子供があるというのから察すれば、実際の歳は三十五六にもなるのでしょうか? 見たところでは漸く三十前後ぐらいで、成る程貴族の生れらしい威厳を含んだ、きりりと引き緊まった顔だちの婦人、―――その威厳は、多少の凄みを覚えさせるほど蒼白を帯びた、澄んだ血色のせいであろうと思われましたが、しかし凛乎たる表情や、瀟洒な服装や、胸だの指だのに輝いている宝石を見ると、これが生活に困っている人とはどうしても受け取れませんでした。