Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ぬすむおんな

窃む女

黒島 伝治

Lisez 窃む女 (ぬすむおんな) de 黒島 伝治 (くろしまでんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 734 caractères · 18 écrans

Aozora Bunko

」彼女は、清吉の枕頭に来て、風呂敷包を拡げて見せた。

染め絣、モスリン、銘仙絣、肩掛、手袋、などがあった。

「これ、品の羽織にしてやろうと思うて……」

と彼女は銘仙絣を取って清吉に見せた。

「うむ。」

「この縞は綿入れにしてやろうと思うて――」

「うむ。」

お里は、よく物を見てから借りて来たのであろう反物を、再び彼の枕頭に拡げて縞柄を見たり、示指と拇指で布地をたしかめたりした。彼女は、彼の助言を得てから、何れにかはっきり買うものをきめようと思っているらしかった。しかし、清吉にはどういう物がいゝのか、どういう柄が流行しているか分らなかった。彼は上向に長々とねそべって眼をつむっていた。彼女はやがて金目を空で勘定しながら、反物を風呂敷に包んだ。

「友吉にゃ、何を買うてやるんだ。」清吉は眼をつむったまゝきいた。

「コール天の足袋。」

「そうか。」と、彼はつむっていた眼を開けた。

妻は風呂敷包みを持って、寂しそうに再び出かけていた。

もっと金を持たせると元気が出るんだが……そう思いながら、彼は眼をつむった。こゝ十日ほど、急に襲って来た寒さに負けて彼は弱っていた。軽い胸の病気に伴い易い神経衰弱にもかゝっていた。