Classiques japonais avec furigana
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さいきこうい
細木香以
Lisez 細木香以 (さいきこうい) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 332 caractères · 45 écrans
その街に面した処に小さい町家が二軒ある。一つは地所も家も高木のもので、貸店になって居り、一つは高木の地所に鳶頭の石田が家を建てて住んでいる。ぎんは取引が済んでこの貸店に移った。
父は千住の大きい家を畳んで、崖の上の小家に越して来た。千住の家は徳川将軍が鷹野に出る時、小休所にしたと云う岡田氏の家で、これにほとんど小さい病院のような設備がしてあったのである。父は小家に入って「身軽になったようだ」と云った。そこへわたくしは太田の原の借家から来て一しょになった。
小家は三間に台所が附いている。三間は六畳に、三畳に、四畳半で、四畳半は茶室造である。後にこの茶室が父の終焉の所となった。
茶室の隣の三畳に反古張の襖が二枚立ててある。反古は俳文の紀行で、文字と挿画とが相半している。巻首には香以散人の半身像がある。草画ではあるが、円顔の胖大漢だと云うことだけは看取せられる。
崖の上の小家は父の歿後に敗屋となって、補繕し難いために毀たれた。反古張りの襖も剥落し尽していた。今にして思えばこれは安政六年の夏に、香以が三十八歳で江の島、鎌倉を廻った紀行の草稿であったらしい。