Classiques japonais avec furigana
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えんむすび
縁結び
泉 鏡花
Lisez 縁結び (えんむすび) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 536 caractères · 33 écrans
構うもんか。さ、手を曳こう、辷るぞ。」
と言った。暮れかかった山の色は、その滑かな土に、お君の白脛とかつ、緋の裳を映した。二人は額堂を出たのである。
「ご覧、目の下に遠く樹立が見える、あの中の瓦屋根が、私の居る旅籠だよ。」
崕のふちで危っかしそうに伸上って、
「まあ、直そこでございますね。」
「一飛びだから、梟が迎いに来たんだろう。」
「あれ。」
「おっと……番毎怯えるな、しっかりと掴ったり……」
「あなた、邪慳にお引張りなさいますな。綺麗な草を、もうちっとで蹈もうといたしました。可愛らしい菖蒲ですこと。」
「紫羅傘だよ、この山にはたくさん吹く。それ、一面に。」
星の数ほど、はらはらと咲き乱れたが、森が暗く山が薄鼠になって濡れたから、しきりなく梟の声につけても、その紫の俤が、燐火のようで凄かった。
辿る姿は、松にかくれ、草にあらわれ、坂に沈み、峰に浮んで、その峰つづきを畝々と、漆のようなのと、真蒼なると、赭のごときと、中にも雪を頂いた、雲いろいろの遠山に添うて、ここに射返されたようなお君の色。やがて傘一つ、山の端に大な蕈のようになった時、二人はその、さす方の、庚申堂へ着いたのである。