Classiques japonais avec furigana
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びしょうじょいちばんのり
美少女一番乗り
山本 周五郎
Lisez 美少女一番乗り (びしょうじょいちばんのり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 73 583 caractères · 149 écrans
ちょうどそのころ――下僕に兜と鎧の櫃を担がせて、乳母と共に小房が、土岐六郎右衛門家の玄関を訪れていた。
――これを持って市之丞の許へ行け、そちは市之丞の妻だ、もし屋敷へ入れなかったらこれで自害せよ。
そう言って父から渡された差添一口。それに婿引出としての甲冑一領、否応もなく急きたてられて家を出たが、
――あんなに怒っていらした市さまにどうして今更お眼にかかれよう。お眼にかかったところでお怒りの解けるはずはなし……いっそこのまま自害して。
と何度心に思い詰めたか知れなかった。しかし乳母がついてたってと促すので、進まぬ足を引摺るようにして来たのであった。――案内を乞うて待つ間がどんなに長かったろう。
――今にも会わぬと言われようか。
と血も冷える思いで待っていた。
その時であった、表の方に戛々と馬蹄の音がしたと思う間に、屋敷の門へ馬を乗入れて来た土岐市之丞、――早くも小房の姿を認めるや馬から跳び下りて、
「小房どの、来て下すったか」
と叫びながら走り寄った、――家にいるとばかり思った人が不意に表から現れたので、小房は狼狽しながらも、しかし相手の顔色のいきいきと晴れているのを見て、生返ったように、