Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
十郎のいらいらした表情には、なにかの耐えがたい感情を、歯をくいしばっておさえている、苦渋のいろが読みとれる。
お葉は、うっとりとした眸で、海を見ながら、ひとりごとのように、
「きっと、おッ母さんの命令を果してみせるわ。いや、もう、あたしは、身も、心も、おッ母さんになりきってるの。玉井のごりょんさんには、一番大事なことは話さなかった。誰が話すもんか。あたしには、自信がある。おッ母さんは、あたしに、二つの命令を降した。一つの方は、駄目かも知れない――右腕にも、降り龍を彫る約束がしてあるから、お前が約束を果しておいで。……おッ母さんは、そういったけれど、どうだか?……でも、もう一つの方は、……きっと、きっと、……」
狂気に近い妄執を、その眼に燃やしている女を、十郎はあきれた顔つきで見た。
「お葉さん、お前、本気で、玉井金五郎の子を孕む気かい?」
「本気でなくってさ」
「おどろいたもんだなあ。親子二代の横恋慕かい。惚れるなら、若い方にしたら、どうだね? 息子の勝則に、……」
「なにいってんのさ。嫌なこったよ。あたしの目標は玉井金五郎、ただ一人よ。おッ母さんが、あたしに乗りうつってるんだ。