Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
Lisez 花と龍 (はなとりゅう) de 火野 葦平 (ひのあしへい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 410 131 caractères · 824 écrans
「そんなことないわよ。理不尽なことには、泣き寝入りせんだけよ」
広島の山奥から、兄を頼って来て以来、十ヶ月ほどになるので、マンの言葉にも、故郷の訛りがいくらか抜けていた。
長屋の灯が近づく。七色の虹のなかにある月が、しだいに、雲の厚味で、ぼやける。
「おマン」
「はい」
「お前、玉井金五郎という男を、どう思う?」
「どう思う、って、なんとも思わんわ、男っていうのは、誰も彼もおんなじ、みんな、きらいよ」
「あの男、癪にさわる。このごろ来たばっかりなのに、俺よりも、三分も余計に取りやがる。おまけに、今夜も、残されよったが……」
マンは、ぶつぶつとぼやく兄の横顔を、ちらと見た。その眸には、軽侮のいろがあった。
「明日は、また、喧嘩か、畜生」
林助は、やけのような声を出す。
長屋に帰った。
一番鶏が鳴く。まだ暗い午前三時の空気を、羽ばたきの音がゆるがせる。提灯をつけた大男が、長屋のせまい路地を走るように過ぎ、一軒々々、戸をたたいて、起して廻る。
「時間ぞ、時間ぞう」
静かであった長屋が、急に、ざわめきはじめる。戸をあける音、水をくむ音、火をおこす音、どなる声、走る足音。