Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きくづきよ

菊月夜

山本 周五郎

Lisez 菊月夜 (きくづきよ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 129 caractères · 32 écrans

Aozora Bunko

を担って起つちからが、自分にあるや否やは重大な問題である。

しかし彼がその点を反省するよりまえに、孫太夫がずばりと切りこんだ。

「……そこもとにも思案はあろう、だがことは早きを要するのだ、藩家のためにおのれを棄ててくれ、まかり違えば死んでもらわねばならぬが、そのときはわれらも生きてはいない、成否は当ってからのことだ、一命を棄てる覚悟でひきうけてくれぬか」

「……明日お返辞を申上げます」信三郎は面をあげて、こう答えた。

彼は、こういうとき兄がいてくれたらと思った。心はきまっていたが、できることなら兄からひとこと助言がほしかった。しかし、兄は江戸詰だし、ことがことだけに親しい友にも語れなかった、――だが助言など頼まぬほうが本当だろう、おれにはおれの能力だけのことしかできない、その能力をだしきってやってみよう、成敗は天のものだ、はじめから一身も名も棄てれば遅疑することはない、よし! 信三郎はそう思いきめ、明くる日孫太夫を訪ねて承知の旨を伝えた。

疋田へ入婿のゆるしが江戸から来たのは六月はじめのことで、その月二十日に婚礼の式があげられた。諸事倹約の布令の出ているときで、客は両家の近い親族に限られ、祝宴もきわめて質素なものだった。