Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おちむしゃにっき
落武者日記
山本 周五郎
Lisez 落武者日記 (おちむしゃにっき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 460 caractères · 23 écrans
――八幡!
彼は身を捻って太刀を抜こうとした。しかしそれより疾く、体の上へ二人の力がのしかかって来た。祐八郎のはねあげた足は、一人を六尺あまりも飛ばした。一人の手首を噛んだ、それが精いっぱいの反抗であった。
――もういけない。
祐八郎は『そのとき』がきたと悟った。それで反抗することを止めた。
繩を掛けられて引き起されたとき、なによりもさきに彼は、そこに立っている娘の姿を認めた。娘は彫像のようにかたく硬ばった顔で、わなわなと総身を震わせていたが、立ちあがった祐八郎を見ると、ひき裂けるような悲鳴をあげながら、地面の上へ崩れ落ちてしまった。
「貴公たちは誰の組だ」
祐八郎は振返って訊いた。……具足を着けた三人の武士は、まだ肩で息をついていた。
「我らは田中兵部大輔どのの家臣だ」
「そうか、……では念のために申しおくがこの農家に罪はないぞ、拙者がこの娘を太刀で威し、訴えたら病父を殺すと云って、無理に一夜を押しかけて泊ったのだ」
「そんなことは本陣へ行って云え、我らは狩り出すだけが役目だ」
「飢えた野良犬どもの犬狩りだ、わはは」
三人は声を合せて笑った。
「そこの、……娘」