Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

せいりんず

西林図

久生 十蘭

Lisez 西林図 (せいりんず) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 309 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

冬亭と文女が向き合って坐っている光景は、ふしぎきわまるもので、冬亭は煙草ものまず、膝に手をおいたまま、文女のほうは下眼にうつむき、話らしい話もせずに、二時間でも三時間でも坐っている。冬木がその席にいたせいではなく、そういうのが毎度のことらしい。そのとき書斎の窓から木瓜の花梢が見えていたが、その長い対坐の間に文女は、

「花というものは、花を見ているあいだは、ほかに、なにもいらないような気持にさせますのね」と、いったきりだった。

二人の気持が、どういうふうに向いていったか、冬木は知らないが、そのうちに、いつ行っても文女が来ているようになった。句作のことではないらしく、冬亭のところへ通いつめているのは、ただごとではないようにみえてきた。

文女の両親は七年ほど前に亡くなって、鹿島の家には祖父の与兵衛が坐りなおしていた。西園寺公や雨宮暁などとは時代がちがうが、欧羅巴で一世の豪遊をした大通の一人で、モンマルトルやモンテ・カルロの老人たちは、雪洲の名は知らなくとも、鹿島の名は記憶していて、風流と豪奢をいまも語草にしている。

日本へ帰って、息子に家産を譲ってからも、あいかわらず寛濶に遊びつづけていたが、息子夫婦が文子を残して死ぬと、館ともいえるような宏壮な洋館をしめ、伊那の奥から引いてきた柾葺の山家にひきこもり、メンバ