Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

せいりんず

西林図

久生 十蘭

Lisez 西林図 (せいりんず) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 309 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

三

「ゆるすもゆるさないもありません。つまらぬことでお騒がせして、恐縮でした」

老人は、おだやかな顔のまま、

「わたしは、鶴は文の身代りだと申しましたが、それでもゆるしていただけますのでしょうか。言葉を重ねずに、ひと言で返事をおきかせねがいとうございます」

冬亭は、なにかいいかけたが、思いかえしたように口をつぐむと、眼を伏せて、しずまりかえってしまった。

老人は夜うぐいすの声をききすますように、夕月の光のさしかける半蔀のほうをながめていたが、すこし座を下って、畳の上に両手をつくと、

「鶴に罪はありません……こういう不幸にたちいたりましたのは、みなわたしの我儘から起こりましたことで、それにつきましては、このとおり、手をついておわびいたします。鶴は、この冬、越後で雪にあって、長らく患い、その後も、心細く暮しているように聞いております。おゆるしいただけましたら、さぞ、よろこぶことだろうと思いますが」

というと、眼をあげて、まじまじと冬亭の顔を見まもった。

三

一つこもり居る薔薇の紅、という冬亭の句の中に、若い女性がいると、冬木は感じていたが、文女は横浜の空襲で死んでしまったと思いこんでいたので、そうと読みとることができなかった。