Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

Lisez 詩の原理 (しのげんり) de 萩原 朔太郎 (はぎわらさくたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 153 641 caractères · 305 écrans

Aozora Bunko

さればニイチェが歎いたことは、彼がいかにしても詩人であり、詩人を超越し得ないと言うことだった。だが彼がもし詩人でなく、実にヘーゲルの如き学者であり、ビスマルクのような軍人であり、そして真に鉄製の意志を持った独逸人であったならば、始めからどんなツアラトストラも無かったろう。実に詩は現在しないものへの憧憬であり、所有を欲する「自由への欲情」に外ならないから。

故に詩人は、彼が*気質的のセンチメンタリストであるほど、それほど逆に英雄的な叙事詩の作家になり得るだろう。詩人が権力感情に高翔するのは、駱駝が獅子になろうとし、超人が没落によって始まるところの、人間悲劇の希臘的序曲である。あらゆる文明の源泉はこの叙事詩から始まってくる。故に詩に於けるヒロイズムは、本質的に「悲痛なもの」を情操している。否むしろ、叙事詩の真の魅惑は、その悲痛感によって尽きるのである。悲痛感を外にして、いかなる叙事詩の誘惑もありはしない。いかにゲーテのファウストやダンテの神曲やが、人間的弱小の非力感から、或る超人的なものへ飛ぼうとする悲痛な歎息を感じさせるか。そして支那の詩の多くのものが、沈痛無比な響を以て人生を慷慨悲憤していることぞ。