Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みちくさ
道草
Lisez 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 812 caractères · 293 écrans
寒い風が吹こうが冷たい雨が降ろうが決してやめなかった。
「そんな心細い事をいわずに、出来るだけ養生をしたら好いでしょう」
「養生はしているよ。健ちゃんから貰う御小遣の中で牛乳だけはきっと飲む事に極めているんだから」
田舎ものが米の飯を食うように、彼女は牛乳を飲むのが凡ての養生ででもあるかのような事をいった。日に日に損なわれて行くわが健康を意識しつつ、この姉に養生を勧める健三の心の中にも、「他事じゃない」という馬鹿らしさが遠くに働らいていた。
「私も近頃は具合が悪くってね。ことによると貴方より早く位牌になるかも知れませんよ」
彼の言葉は無論根のない笑談として姉の耳に響いた。彼もそれを承知の上でわざと笑った。しかし自ら健康を損いつつあると確に心得ながら、それをどうする事も出来ない境遇に置かれた彼は、姉よりもかえって自分の方を憐んだ。
「己のは黙って成し崩しに自殺するのだ。気の毒だといってくれるものは一人もありゃしない」
彼はそう思って姉の凹み込んだ眼と、痩けた頬と、肉のない細い手とを、微笑しながら見ていた。
六十九
姉は細かい所に気の付く女であった。従って細かい事にまでよく好奇心を働らかせたがった。