Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みちくさ
道草
Lisez 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 812 caractères · 293 écrans
十八
十八
雨の降る日が幾日も続いた。それがからりと晴れた時、染付けられたような空から深い輝きが大地の上に落ちた。毎日欝陶しい思いをして、縫針にばかり気をとられていた細君は、縁鼻へ出てこの蒼い空を見上げた。それから急に箪笥の抽斗を開けた。
彼女が服装を改ためて夫の顔を覗きに来た時、健三は頬杖を突いたまま盆槍汚ない庭を眺めていた。
「あなた何を考えていらっしゃるの」
健三はちょっと振り返って細君の余所行姿を見た。その刹那に爛熟した彼の眼はふとした新らし味を自分の妻の上に見出した。
「どこかへ行くのかい」
「ええ」
細君の答は彼に取って余りに簡潔過ぎた。彼はまたもとの佗びしい我に帰った。
「子供は」
「子供も連れて行きます。置いて行くと八釜しくって御蒼蠅いでしょうから」
その日曜の午後を健三は独り静かに暮らした。
細君の帰って来たのは、彼が夕飯を済ましてまた書斎へ引き取った後なので、もう灯が点いてから一、二時間経っていた。
「ただ今」
遅くなりましたとも何ともいわない彼女の無愛嬌が、彼には気に入らなかった。彼はちょっと振り向いただけで口を利かなかった。するとそれがまた細君の心に暗い影を投げる媒介となった。