Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

とかいのゆうき

都会の幽気

豊島 与志雄

Lisez 都会の幽気 (とかいのゆうき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 559 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

丁度五年前のやはり今時分、あの室で年若い学生が縊死を遂げた。大変勉強家のおとなしい静かな男だったが、高等学校の入学試験に失敗をして、この下宿から一年間予備校に通っていたが、翌年また失敗をして少し気が変になり、そこへまた不運なことには、この下宿にいた年増な女中からいつしか誘惑され、その女中が姙娠したことを知って、初心な気弱さの余り世を悲観して、遂に死を決したものらしい。故郷の両親へ宛てた遺書が一通見出されたけれど、ただ先立つ不孝を詫たばかりで、事情は少しも書いてなかった。その男が、床の間の上に机を踏台として、壁に火箸で穴をあけ、麻縄でぶら下って、私が夢に見た通りの死に方をしたのだった。それから半年ばかりの間、室は釘付にして誰も入れないことにしてあったが、何等変ったこともない上に、それでは却て人の注意を惹くものだから、落掛の木を新しく取り代え壁を塗り直して、やはり座敷に使うこととなった。私がはいる前に、二人ほどその室を借りた者があったけれど、何の怪しいことも起らなかったそうである。

話を聞くと、私はもう一刻もその室に戻ってゆくことが出来なかった。話を聞いてから夢をみるのなら兎に角、聞かない前に事実そっくりの夢をみたのだし、その幻がまざまざと見えたのだから、気の迷いとばかりはいえなかった。