Classiques japonais avec furigana
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きんごじゅうりょう
金五十両
山本 周五郎
Lisez 金五十両 (きんごじゅうりょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 843 caractères · 23 écrans
宗吉はいちど置いた酒を取って飲み、じっと眼をつむった。
雨は相変らず強く降っている、どこか樋の傷んでいる処があるのだろう、裏手のほうでざあざあと溢れ落ちる水音が聞えた。
お滝は酌をしながら男を見た。
「それはいったいどういう訳なんです」
「伯母が持ってっちゃったんだ、飲んだくれの伯父が死ぬと間もなく、伯母は自分より若い男を後夫に入れ、段だんしだして、かなり大きい八百屋の店を持つようになっていた、その男とは伯父が生きていた頃から普通じゃあなかったと、近所の者から聞かされたことがある、それが厭で己はできるだけ寄りつかなかったが、伯母は手土産なんぞ持ってよく店へ挨拶に来た。
そのあいだに己には内緒で、宗吉のために積んで置くからと、四十五両というものを受取っていったという、お前は知らなかったのかとその書付を見せられて、眼の前が急にまっ暗んなったような気持で己は店をとびだした」
「よせばよかったのに」
お滝は呟くように云いながら、膳の上の盃に酌をした。
「いったってむだに定ってるじゃないの」
「唯むだな許りじゃなかった、親無し子で乞食になる処を拾ってやったとか、生きているあいだは稼いで貢げとか、悪態のありったけを浴びせられ、塩を撒かれない許りに逐返された。