Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きんろう

金狼

久生 十蘭

Lisez 金狼 (きんろう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 438 caractères · 179 écrans

Aozora Bunko

一日もはやく、ダンサーなどはよさなくてはならない。彼のために、そうするのが至当である。……

葵は、アパートの差配の娘や、〈シネラリヤ〉の仲間に久我のことを話すときは、彼を(許婚者)とよんでいた。彼女に好意をもつほどのものは、一日もはやく、その披露式を見たいと望むのだった。だれよりもそれを望んでいるのは葵自身であるが……

葵は、ほとんど毎晩(許婚者)に逢っていた。久我が〈シネラリヤ〉へ葵を迎いに来、それから角筈の界隈で、なにかしら、二人で夜食をたべるのだった。西貝もときどき仲間をつれて、二人の夜食に加わった。乾老人の骨董店も、すぐその近くにあったので、迎えにやれば一議に及ばず駆けつけてきた。

葵は、久我と二人きりでいるときも、大勢で卓についているときも同じように楽しそうだった。殊に、そういう時は、久我のそばによりそっていて、初心の主婦のように、いろいろと細かい心づかいをするのだった。西貝が、酔って猥談をしても腹を立てなかった。乾がコップから酒をこぼして胸をぬらすと、そのたびに立って行って、やさしく拭ってやるのだった。すると、乾は、葵嬢よ、あんたを最初に警察に密告したのは、このあたしなんだが、なんとも、かんとも申しわけのない次第で……、と、顔じゅうを涙びたしにして、繰りかえし巻きかえし詫びるのだった。