Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 029 caractères · 82 écrans
四
四
若旦那重三郎の話は、ずいぶん変ったものでしたが、平次は急所急所に極く短かい問いを挾みながら、なおもその話をつづけさせたのです。
「同じ容態で、幾人も幾人も死んで行くのが素人の私にも不思議でなりません。そこで町内の本道(内科医)の玄庵さんに訊いてみますと、そのお医者の申すには、私もそれは不思議に思っているが、確かな証拠がないことを、差出がましく申出でて、世間を騒がせるわけには行かない。が、三人の容態を見たところでは、最初にいちおう強い毒薬を呑ませて足腰の立たないようにして置き、それから毎日の食事なり飲物なりに弱い毒を仕込んで、ジリジリと殺して行くのであろう。その毒がどんなものか、それも良くは判っていない、と申すのでございました。
――それでは可哀想にお浜もお安も、一寸試し、五分試しに殺されたようなものでございます。どんな仕掛けで、そんな虐たらしいことが出来るか――私も一生懸命でございました。お医者の胸倉を掴むようにして訊きますと、今のところはっきりした事は言われないが、夜中に誰も気が付かないようにそっと起き出して、病人の部屋に忍んで行き、その病人の湯呑なり、水差しなり、または朝起きてすぐ呑む煎薬なりに、毒薬を投り込む者があるに相違ない。