Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(九) 全十冊
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(九) 全十冊 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 029 caractères · 82 écrans
五
なおも部屋の中を探した平次は、机の抽斗から、綺麗に重ねて半紙に包んで、紐までかけた手紙を二十四本も見つけ出しました。
「なんです、それは?」
差しのぞく八五郎の前へ手を振って、
「お前の見るものじゃない」
そっと自分の懐中に隠しました。それはやるせない処女心を、たどたどしい筆に托した恋文で、言うまでもなく畑の向うの立花久三郎の娘お妙が、精いっぱいの思いで竜吉の手もとに届けたものでしょう。
「あれは誰だ」
首を挙げた平次は、畑の中を此方へ近づいて来る二人の少年を指しました。
「背の高いのは此家の丁稚の定吉で、背の低いのは、立花様の甥の松次郎ですよ」
ちょっと見はどちらも十四五と見えますが、背の低い、よく肥った松次郎の方は、年が二つ上と聴いております。身扮も定吉は小気のきいた丁稚姿で、松次郎は粗末ながら武家の子らしく、短かいのを一本差して、小倉の袴を裾短かに穿いております。
二人は此方をチラリと見ましたが、そのままきわめて無関心に階下へ入った様子。主人の三五兵衛と、何やら声高に話しているのが、二階まで筒抜けに聞えます。
五
平次はいちおう定吉と松次郎に逢いましたが、二階から見た印象と少しも変らず、定吉は口賢こい才気走った少年で、十四というにしては、身体の発達もよく、性格的にもひどくませております。