Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 671 caractères · 252 écrans
恐らく昼のうちから庵室の縁の下に忍び込み、夕方の隙を窺って、床下の格子の中へ猿を放ち、中からお勝手口を開けさせて、何んの苦もなく庵室内に忍び込み、何処か物陰に隠れて時を待った上、寺男に化けて外へ逃出したものでしょう。
入る姿を見せずに、まんまと千両の金をせしめ、小坊主を人質にして逃出した手際の鮮やかさは、敵ながら天晴れな働きで、さすがの銭形平次も舌を捲きましたが、前々から警戒された事件だけに、「相済みません」では、町方の面目が立たなかったのです。
その翌る日、腐り切っていた平次のところへ、八五郎が飛込んで来ました。
「親分、行って来ましたよ」
「何処へ行って来たんだ」
「忘れちゃいけませんよ、根津宮永町の木賃宿」
「昨日も行った筈じゃないか」
「とことんまで調べ抜くため、泊って来たんですよ」
「良い娘が居るんだってね、猿回しの妹とか言った――お前が泊る気になるような」
「そのせいばかりじゃありませんよ」
「仕事に精が出て結構だが、娘がいなきゃそんなとこに泊る気にもなるまい」
「その代り、たった一と晩で、すっかり猿回しの兄妹と懇意になりましたよ」
八五郎は少しばかり有頂天でした。