Classiques japonais avec furigana
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しっぽうのはしら
鏡花短編集
泉 鏡花
Lisez 鏡花短編集 (しっぽうのはしら) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 632 caractères · 32 écrans
何、牛に乗らないだけの仙家の女の童の指示である……もっと山高く、草深く分入ればだけれども、それにはこの陽気だ、蛇体という障碍があって、望むものの方に、苦行が足りない。で、その小さなのを五、六本。園女の鼻紙の間に何とかいう菫に恥よ。懐にして、もとの野道へ出ると、小鼓は響いて花菜は眩い。影はいない。――彼処に、路傍に咲き残った、紅梅か。いや桃だ。……近くに行ったら、花が自ら、ものを言おう。
その町の方へ、近づくと、桃である。根に軽く築いた草堤の蔭から、黒い髪が、額が、鼻が、口が、おお、赤い帯が、おなじように、揃って、二人出て、前刻の姉妹が、黙って……襟肩で、少しばかり、極りが悪いか、むずむずしながら、姉が二本、妹が一本、鼓草の花を、すいと出した。
「まあ、姉ちゃん。」
「どうも、ありがとう。」
私も今はかぶっていた帽を取って、その二本の方を慾張った。
とはいえ、何となく胸に響いた。響いたのは、形容でも何でもない。川音がタタと鼓草を打って花に日の光が動いたのである。濃く香しい、その幾重の花葩の裡に、幼児の姿は、二つながら吸われて消えた。
……ものには順がある。