Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lisez 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 213 575 caractères · 424 écrans
▼昼夜なき激痛と高熱がつづき、以来二十日間ほど呻吟した。仰臥も左側臥もできず、おなじ恰好のまま、身じろぎもできない。果ては蒲団を巻いて抱きすがり、唸りつつ、うつつを慰めた。好きな煙草も、ふた口と吸えず、返事も二た言といえないのである。
▼昨夜、病後第一回の原稿を編集へ渡した。うれしかった。ふとひとり眼を熱くした。▼六年前、「新・平家」第一回の原稿を生んだ日の感慨を思い出したのだ。六年余の歳月は知らず知らず自分に当初の初心をマヒさせていたかもしれない。これがこんどの病後の収穫だった。最初の執筆当時の初心と熱意に立ちかえって、筆を新たに持とう。それをもって、読者諸彦へのお詫びともさせていただきたい。▼だがまだ、離床入浴までにはゆかず、机の前に寝床を敷き放しにして、寝つ起きつこれを書いた。訪う者訪う者、ぼくのヒゲを褒めていう。川口松太郎は「まるで俊寛だね」といい、杉本健吉は「文覚さんだ」という。そして多くが「記念に剃らずにおいた方がいい」というが、こんな記念はまッ平である。四、五日のうちに剃るつもりだ。そして初夏の風の中で、人間の幸福とはこれだったかなどと、平凡な感慨に今更らしく耽ることであろう。