Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lisez 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 904 caractères · 28 écrans
清住町を通りぬけて右に霊岸町へ折れまがる。片側は霊岸寺の長い塀。ひとっ気のないところだから三津五郎も気をぬいて、鮨、鮨といい加減にふれて行く。
ちょうど寺の門を通りすぎて五、六間行ったと思ったとき、門の中からひょろりと出てきた二十二三の優形の男。の厚い三枚重ねに三つ大の紋のついた小浜縮緬の紫の羽織をゾベリときかけ、天鵞絨の鼻緒のすがった雪駄の裏金をチャラめかしながら日本じゅうの役者をひとりで背負って立ったような気障なようすで、三津五郎のうしろからシャナリシャナリとついて行く。
これが三津五郎と瓜ふたつ。おなじ腹から出た双生児でもこうまでは似ていまいと思われるほど。
いつの間に見とったのか肩の癖から足の運びまで、なにもかも三津五郎そっくり。
ひょろ松は、顎十郎の袖を引き、
「えらいやつが飛びだして来ました。三津五郎のあとからもうひとり三津五郎が行きます」
偽の三津五郎のほうは、うしろから来る三人には気がつかないようでシャナシャナ歩いて行ったが、そのうちに霊岸寺の地つづきの冠木門から駈けだして来た娘にニッコリと笑いかけ、いやらしい科でおいでおいでと手まねきをした。