Classiques japonais avec furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lisez 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 904 caractères · 28 écrans
はやり物
谷中、藪下の菊人形。
文化の末ごろからの流行で、坂の両がわから根津神社のあたりまで、四丁ほどのあいだに目白おしに小屋をかけ、枝を撓め花を組みあわせ、熊谷や敦盛、立花屋の弁天小僧、高島屋の男之助。虎に清正、仁田に猪。鶴に亀、牡丹に唐獅子。竜宮の乙姫さま。それから、評判の狂言を三段返し五段返しで見せる。人形の首は人気役者の顔に似せ、衣裳は、赤、白、紫、黄、色とりどりの花を綴って飾りたてる、それが、実に見事。
もとは巣鴨の染井や麻布の狸穴だけのものだったが、そのほうは廃れ、このせつは谷中の名物になり、地元の植木職が腕によりをかけていろいろと趣向を凝らす。菊人形師などというものもあらわれ、小屋の数もふえて六十軒あまり。小屋名の入った幟を立て、木戸には木戸番がすわって、
「こちらが菊人形の元祖、植半でござい。当年のご覧ものは、中は廻り舞台、三段返し糶上げ。いちいち口上をもってご案内。サア、評判評判」
「手前どもは植梅でございます。五代目団蔵の当り狂言『鬼一法眼三略巻』。三段目『菊畑』、四段目は『檜垣茶屋』。おなじく五段目『五条ノ橋』は牛若丸の千人斬り。