Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans

Aozora Bunko

そして、ここまで描いてきた彼女の恋のまぼろしへ、見る間に悪魔のかげが踊る。

弦之丞の態度が、いよいよすげなく、いよいよ冷静になりゆくほど、銀五郎の語調はまごころをまし、熱そのものとなってくる。

「そればかりではございません。今お千絵様のまわりには、あのお美しさと、甲賀家の財宝を狙う魔ものが、つきまとっているのです。――それを誰かといえば、あなた様にもお心当りがございましょう、粘り強い悪智をもった旅川周馬という男を……」

「ウウム、旅川周馬?」

こう口のうちで呟きながら、初めて瞑目をみひらいた法月弦之丞、その涼やかな眸には、何か強い記憶のものがよみがえっていた。

「はい、その周馬めでござります。恋敵のあなた様が、江戸を去ったのを幸いにして、陰に陽に、お千絵様を責め悩ますじゃございませんか」

「さては、いまだ諦めておらぬとみえるな」

「手をひくどころか、いよいよ意地を曲げての横恋慕です。おまけに手をかえ、品をかえて、甲賀家の財宝まで、おのれの物にしようという腹……太い野郎でございます」

「オオ、あの周馬なら、そのくらいなことは企むであろう」

「わっしは元より今戸の瓦師、とてもあいつに歯は立ちませんが、またお千絵様の境遇をよそに見てもいられねえ。