Classiques japonais avec furigana
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さとう
麻布襍記 ――附・自選荷風百句
永井 荷風
Lisez 麻布襍記 ――附・自選荷風百句 (さとう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 37 256 caractères · 77 écrans
近眼鏡を掛けざるものは書生に非ざるが如く収賄せざるものは遂に官吏に非ざるの思あるに至らんか。恰も痳病を患いざるものは男児に非ずと云うに等しかるべし。
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江戸時代の随筆旧記の類を見るに時世の奢侈に流れ行くを慨嘆せざるものなし。天明の老人は天明の奢侈を嘆きて享保の質素を説き文化文政の古老はその時代の軽浮を憤りて安永天明時代の朴訥を慕えり。明治に残存せる老爺は江戸の勤倹を称し大正の老人は明治時代の現代に優れるを説いて止まず。時代と人とを異にすと雖もその筆法は皆一律なり。後人の回顧して追慕する処の時代はこれ正に先人の更に前代を憶うて甚喜ばざるの時代なりしにあらずや。此を以て之を看れば老夫の感慨全く理に当らず。然りと雖も人老ゆるに及んで身世漸く落寞の思いに堪えず壮時を追懐して覚えず昨是今非の嘆を漏らす。蓋し自然の人情怪しむに足らざるなり。
駕籠に馴れたるものは人力車を見て快しとなさず人力車に馴れたるものは自動車を痛罵す。人力車にも初めは幌なし況んやゴム輪透幌蚊帳幌アセチリンの灯に於てをや。ゴム輪は余輩の見聞にして誤らずんば明治四十年頃銀座辺の宿車より初まり一二年にして市外近郊の辻車まで皆これにならえり。