Classiques japonais avec furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lisez 黒百合 (くろゆり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 78 148 caractères · 154 écrans
一体、ここは旧山の裾の温泉宿の一廓であった、今も湯の谷という名が残っている。元治年間立山に山崩があって洪水の時からはたと湧かなくなった。温泉の口は、お雪が花を貯えておく庭の奥の藪畳の蔭にある洞穴であることまで、忘れぬ夢のように覚えている、谷の主とも謂いつべき居てつきの媼、いつもその昔の繁華を語って落涙する。今はただ蚊が名物で、湯の谷といえば、市の者は蚊だと思う。木屑などを焼いた位で追着かぬと、売物の蚊遣香は買わさないで、杉葉を掻いてくれる深切さ。縁側に両人並んだのを見て嬉しそうに、
「へい、旦那様知ってるだね。」
十七
「百合には種類が沢山あるそうだよ。」
ささめ、為朝、博多、鬼百合、姫百合は歌俳諧にも詠んで、誰も知ったる花。ほしなし、すけ、てんもく、たけしま、きひめ、という珍らしい名なるがあり。染色は、紅、黄、透、絞、白百合は潔く、袂、鹿の子は愛々しい。薩摩、琉球、朝鮮、吉野、花の名の八重百合というのもある。と若山は数えて、また紅絹の切で美しく目を圧え、媼を見、お雪を見て、楽しげに、且つ語るよう、
「話の様子では西洋で学問をなすったそうだし、植物のことにそういう趣味を持ってるなら、私よりは、お前のお花主の、知事の嬢さんが、よく知ってお在だろうが、黒百合というのもやっぱりその百合の中の一ツで、花