Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くろゆり

黒百合

泉 鏡花

Lisez 黒百合 (くろゆり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 78 148 caractères · 154 écrans

Aozora Bunko

序

越中の国立山なる、石滝の奥深く、黒百合となんいうものありと、語るもおどろおどろしや。姫百合、白百合こそなつかしけれ、鬼と呼ぶさえ、分けてこの凄じきを、雄々しきは打笑い、さらぬは袖几帳したまうらむ。富山の町の花売は、山賤の類にあらず、あわれに美しき女なり。その名の雪の白きに愛でて、百合の名の黒きをも、濃い紫と見たまえかし。

明治三十五年寅壬三月

一

「島野か。」

午少し過ぐる頃、富山県知事なにがしの君が、四十物町の邸の門で、活溌に若い声で呼んだ。

呼ばれたのは、知事の君が遠縁の法学生、この邸に奇寓する食客であるが、立寄れば大樹の蔭で、涼しい服装、身軽な夏服を着けて、帽を目深に、洋杖も細いので、猟犬ジャム、のほうずに耳の大いのを後に従え、得々として出懸ける処、澄ましていたのが唐突に、しかも呼棄てにされたので。

およそ市中において、自分を呼棄てにするは、何等の者であろうと、且つ怪み、且つ憤って、目を尖らして顔を上げる。

「島野。」

「へい、」と思わず恐入って、紳士は止むことを得ず頭を下げた。

「勇美さんは居るかい。」と言いさま摺れ違い、門を入ろうとして振向いて言ったのは、十八九の美少年である。