Classiques japonais avec furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lisez 黒百合 (くろゆり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 78 148 caractères · 154 écrans
「それでは滝があって蛍の名所、石滝という処は湿地だと見えるね。」
「それはもう昼も夜も真暗でござります。いかいこと樹が茂って、満月の時も光が射すのじゃござりませぬ。
一体いつでも小雨が降っておりますような、この上もない陰気な所で、お城の真北に当りますそうな。ちょうどこの湯の谷とは両方の端で、こっちは南、田※も広々としていつも明うござりますほど、石滝は陰気じゃで、そのせいでもござりましょうか、評判の魔所で、お前様、ついしか入ったものの無事に帰りました例はござりませぬよ。」
「その奥に黒百合があるんですッて、」お雪は婆さんの言を取って、確めてこれを男に告げた。
若山はややあって、
「そりゃきっとあるな、その色といい、形といい、それからその昔からの言い伝で、何か黒百合といえば因縁事の絡わった、美しい、黒い、艶を持った、紫色の、物凄い、堅い花のように思われるのに、石滝という処は、今の談では、場処も、様子もその花があって差支えないと考える。もっとも有ることはあるのだから、大方黒百合が咲いてるだろう。夏月花ありという時節もちょうど今なんだけれども、何かね、本当にあるものなら、お前さん、その嬢さんに頼まれたから、取りにでも行こうというのか。