Classiques japonais avec furigana
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どんてん
21世紀の日本人へ 永井荷風
永井 荷風
Lisez 21世紀の日本人へ 永井荷風 (どんてん) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 356 caractères · 51 écrans
掻寄せられた落葉は道の曲角に空地も同様に捨てられた墓場の隅、または赤土の崩れから、杉の根が痩せひからびた老人の手足のように、気味わるく這い出している往来際に、うず高く積み上げられ、番する人もなく、燃るがままに燃されている。しかし閃き出る美しい焔はなくて、真青な烟ばかりが悩みがちに湧出し、地湿りの強い匂いを漲らせて、小暗い森の梢高く、からみつくように、うねりながら昇って行く。ああ、静かな日だ、淋しい昼過ぎだ、と思うと、自分は訳もなく、その辺に冷たい石でもあらば腰かけて、自分にも解らぬ何事かを考えたくて堪らなくなった。
しかし突然、道は開けて、いそがし気に車の馳せ過ぎる鳥居前の大通りに出た。大通の両側、土手の中腹のそこここに、幾時代を経たとも知れぬ松の大木がある。松の大木はいかなる暴風、いかなる地震が起っても倒れはせぬ。いかなる気候の寒さが来ても枯れはせぬと云わぬばかり、憎々しく曇天の空に繁り栄えて、自分がその瞬間の感想に対して、驚くほど強い敵意を示すものの如く思われた。すると、その憎らしい幹の間から、向うに見下す不忍の池一面に浮いている破れ蓮の眺望が、その場の対照として何とも云えず物哀れに、すなわち、何とも云えず懐しく、自分の眼に映じたのである。