Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あだこ
あだこ
山本 周五郎
Lisez あだこ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 762 caractères · 46 écrans
ひどく色の黒い女だな、と半三郎は思った。いま田舎から出て来たという感じで、しかし声はきれいだったし、その黒い顔はこちらに向って、隔てのない微笑を見せていた。
「おまえ誰だ」と半三郎が訊いた。
相手には聞えなかったらしい。それとも聞えたが答えたくなかったものか、もっとはっきり頬笑んで、枯草のほうへ手を振った。
「二日もあればきれいになります」と彼女は云った、「このくらいなもの、わがやればなんでもごいへおん」
そしてまた枯草を抜きはじめた。
どこから来たなに者だ、どうするつもりだ。半三郎はそう訊きたかったが、面倒でもあり気力もなかったので、また眼をつむってしまった。たしかに、彼はなにもかも面倒であり、起きあがる気力もなかったのだ。記憶が慥かなら、彼はもう六日も食事をしていない。ときどき水を飲むだけで、夜も昼もなく寝ころんでいた。
――餓死をした死躰は、きれいだろうか、それとも醜悪だろうか。
半三郎はそんなことを考えていた。皮と骨だけになるのだから、たぶん醜悪ということはないだろう。幾日ぐらいかかるのかな、とも彼は考えた。十日か、半月か、おそらく三十日とはかかるまい。