Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おみつかんざし

お美津簪

山本 周五郎

Lisez お美津簪 (おみつかんざし) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 158 caractères · 26 écrans

Aozora Bunko

亭主は燗をつけながらじろりと見た。――厭な眼つきだった。

「さっきはそんな景気じゃあねえようだったなあ」

「だから祝って貰いに来たのよ」

「そいつあ豪気だ、――陸を行くかい」

「船だよ。おっと来た」

亭主が燗徳利と盃を二つ持って来るのを、待ち兼ねたように正吉は献した。

「さっきのお返しだ」

「そう云われちゃあ恥入りだ、貰うぜ」

「海上無事を祝ってくんねえ、――明日の朝あもう江戸ともおさらばだ。十二年振りに帰る長崎、変ったろうなあ、眼をつぶると見えるようだぜ」

「さあ返盃だ――」

「おらあいけねえ、いまの先断ったばかりだ、おらあこれから生れ変るんだ、故郷へ帰って始めっから遣り直すんだ、何も彼もこれからなんだ」

「そいつあ良い思案だ、けれども容易く出来るこっちゃあねえ」

「そうだ、人間一匹生れ変るなあ容易いこっちゃあねえ、けれどもおらあやるんだ、例え嘘にでも、一度だけあ真人間の姿を見せてあげてえ人がある」

「分ってるよ、恋人だろう」

「そうじゃあねえ、昔は知らず今はそう云っちゃあ済まねえ人だ。――ああ、今夜は色々な事があった、二十四の今日までをひと纒めにしたよりも、もっと変った事ばかり起った」